ビッグ・フィッシュ


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ティム・バートン監督最新作。
試写会に当たったので観てきました。
彼の作品の中ではスリーピー・ホロウ
ナイトメア・ビフォー・クリスマス
ジャイアント・ピーチがかなり好きで、
(でもこの2作品は監督名義ではないそうで)
マーズ・アタック!は割と苦手です。
嫌いではありませんが。
シザーハンズとかビートルジュース
バットマンは観ていません。


感動作、と前置きがあったし、宣伝チラシも
かなりロマンチックな雰囲気だったので
私が彼の作品の中で好きだと思っている
悪い夢のような酩酊させるファンタジー要素はどう
組み合わせるのかなあと思っていたのですが、
今回はそれは抑え気味というか、味付けの
ひとつとして上手に利用されていました。


─── ホラ話ばかりするお父さんのことを成長して
分別が付き、結婚までしてもうすぐ子供まで生まれると
いう立ち場になった息子は疎ましく感じるようになり、
子供の頃は夢中になっていたその話を信じなくなる
ように、お父さんというその人そのものも信じられ
なくなる。そんなときに、お父さんが病に倒れ、
余命幾ばくもなくなったと知ったら。


信じる信じないという話にファンタジーの嘘と本当と
いうものを絡めて、かなり真正面からぶつけています。
ですから、ファンタジーの楽しさがちょっと切なく
感じられたり、しぼんでしまったりというところも
少なからずあります。しかし、それはお父さんの人生を
見送る上で多分、仕方がないことなんだろうと思いました。
作中で感じたこの『痛み』を、それでも柔らかく包み
込むような気持ちで見守り、見送ることの出来る作品に
仕上げたティム・バートンの一級の仕事です。