九龍城探訪(ISBN4-87257-423-0)


魔窟で暮らす人々という副題どおり、100年以上
在り続けた超過密高層スラム九龍城の生活と歴史を
住民のインタビューと取り壊し決定後のぎりぎり
暮らしの残る現地の写真でまとめられた本。
PSの『クーロンズ・ゲート』というゲームソフトで
興味を持っていたこの本の日本版がめでたく刊行
されたので現物を閲覧した上で購入。
ルールも秩序もなく組まれた建物と毛細血管のように
はり巡らされ垂れ下がる電気水道ガスの線。
昼も夜も関係ないような暗さと狭さと湿気た雰囲気。
どう見ても読んでも暮らすには不向きで不便で不快に
なるに違いない!のにそこに在る自分というものを
妄想してやまなくなるそういう本です。
暮らしてらっしゃった方々がそれぞれに九龍城に
濃く深い愛着と執着を抱いていたことが伝わってくるので
とても良い本だと思います。