ハリー・ポッターとアズカバンの囚人


※私は原作、映画とも1作目しか観ていません。


予告やら先行上映やら来日騒ぎやらが収まって、割と
沈静化しつつある今日この頃。3作目ともなると
リピーター中心となってしまうのはしょうがないこと
だとは思いますが、この間地上波で流れた1作目を観て
ハリーの特別扱いにうんざりした人にこそ、この3作目を
観て欲しいです。


予告として流れていたシーンのうち、2階建てバスで
ロンドンの街を疾走するところが割と冒頭にあります。
そこの演出と雰囲気とスピード感だけが最後まで観ると
浮いているように感じるのですが、映画への引き込みと
してはとてもいいと思いました。
ちょっと、ティム・バートンみたいでしたが。


物語のトーンは全体に重く、閉塞感と緊張感と不安に満ちた
造りです。そんな中で目を引いたのは、ホグワーツでの
ハリーたちの生活そのものです。学校の授業や個性的な新しい
先生の存在もさることながら、談話室でのちょっとした
やりとりや、毎回映る度に同じ状況から始まる食堂のシーン。
物語の冒頭に近いシーンでの学生による合唱の場面とか、
3年生になり学校にも深く馴染みつつある彼らの様子が随所に
折り込まれていて、さりげない中に情報量の多い画面が続いて
目が離せません。


この映画の魅力はその整理された物語構成にあると思います。
2時間以上ある上映時間の最後になればなるほどスピード感と
緊張感が高まり、ちりばめられた物語の気になる箇所が
次々と拾われて見事に畳まれる様は素晴らしいと思いました。


あと、今回は時間の流れの演出に関しても見事だと思いました。
1巻ずつで1年という時間の流れがある物語を2時間ちょっと
という映画の尺の中に収めようというのですから、やはり
どうしても割愛しなくてはならないところが出てくるでしょう
し、それ以上に今回は物語の最後に時間そのものを中心に
置いて描かれるシーンがあって、それは非常に視覚的な画面
構成を要求されるのですが、それも違和感なく観ることが
出来ました。


あ、ひとつ。
エンディングロールがえらく長いです。笑。
それだけたくさんの方が関わって造られたんでしょうし、
飽きないような流れを工夫されていますが、それでも長い!
周りにいたお子さんたちは次々と席を立ってしまいました。
もったいないですね。