くろべさん

  • 第一報を聞いたときからずーっと重たそうだなあとか厳しそうだなあとか、耐えたり忍んだりばっかりだったらつらいなあとかそんなことばかり考えていたドラマでした。
  • 昨日、今日と放映がありまして、香取さん演ずる親方が終始一貫職人として何があっても受けた仕事を完遂させるという一念において、淡々と、しかし着実に歩みを止めることなく前だけを見据えて進み続けるその姿に熱さではなく、静けさと広さと深さを感じて見入ってしまいました。
  • とても、不思議な感覚でした。
  • 周りを固める他の役者さんたちもその名前の豪華さよりも立場による多彩さを感じさせてくれる展開で、その辺りが、このドラマが実際の出来事に由来するものであるというリアリティからくるものなのかなと。
  • それにしても、今、この時期にこのドラマを放映する意味というものをどうしても考えるところはあります。
  • 意味、というより意図というか。
  • それはさておき、後半のポイントと思われる箇所がことごとく外されたように感じたのは私だけでしょうか。
  • 何故、親方はプロポーズしなかったのか。(物語上の疑問)
  • 何故、トンネルが貫通した瞬間をもっとはっきり描写しなかったのか。(演出上の疑問)
  • 何故、太陽を見たのはごく一部の関係者だけなのか。(演出上の疑問その2)
  • 上記以外にも疑問はあるのですがとりあえず後半で思い出せる分だけ。
  • この辺りが全部異様にあっさりしている割に、前編で死んでしまったひとの幻を見る、なんてシーンは挿入されるんですね。
  • 白血病の彼女が結局亡くなってしまう下りの演出というか流れは思わずええ!?と声と笑いが(申し訳ないですが)こみ上げました。いやもちろん長生きはできないんでしょうけども。
  • 親方の存在そのものを大きく大きく感じることが出来たのはとても良かったと思います。
  • そこに"居る"ということに意味と意義があるように存在するというのは演技でありながらそれにプラスして他の登場人物や物語、そうして伝えたいことという全ての要素がそのひとに向かっていることが条件だからです。
  • そうして、その矢のような集中線の真ん中に揺るぎなく受け止め立ち続けられる力みのない強さが香取さんからは感じられました。
  • 素晴らしかったと思います。