噂の男

  • 9/10 ソワレ 23列38番 シアタードラマシティ
  • 脚本、演出、出演者どれをとっても不足なし文句なし!……って、アレ?でも何か似てない?って思ったら同じPARCOプロデュースの2004年度制作作品である『鈍獣』にとても似ているのでした。いい人がひとりもいないイヤーなお話。ただしひとつ決定的に違うのは脚本がクドカンか福島三郎さんかってところ。
  • 脚本としては『鈍獣』に負けず劣らずイヤーなお話なんですが、さすがというか福島さんはお話そのものを放り出したりはしません。イヤーなひとたちのイヤーな内面を描き、イヤーな関係性を緻密に描き出し、しかし最後には全部さらって持っていきます。そこがクドカンとは決定的に違いました。
  • ただ、その全部丁寧に拾う脚本のせいでというのはアレかもしれませんがイヤーな話の割には筋立てが異様にきちんとしていて折り目正しく、しかし乱暴なことには変わらないという奇妙な感覚に陥るお話でした。
  • 何だろうなぁ。斧を振り回す殺人者がいちいち謝りながらも容赦がない、みたいな?違うか。人を殺しながらいちいちその斧についた血糊を拭いつつまた振るうみたいな感じかな。
  • 出演者は全員素晴らしかったです。どのひとにも見せ場があって、感情のふり幅とかキャラクターの角度というのか内面を表現する場面が出てくるのでわかりやすく、且つ面白かったです。どのひともイヤーなんだけど、嫌いにはなれない感じ。でも好きじゃないんだな。
  • 橋本じゅんさんが特に良かったです。でも最後の見せ場の辺りはもうちょっと絞り込んでもよかったかも。